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Fujita.m/エピソード2

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エピソード2

「挑戦」+「中大規模木造建築」+「設計施工提案」

 

私が営業部に配置転換になり4年ほどたった2008年( 35歳)のことです。

1990年代のバブル崩壊から建設業界は2000年前半までその余波を大きく受けました。

公共工事の減少、業界の再編という名のごとく倒産する会社、合併、グループ化など大きく変化した時代から、少し落ち着き始めたころには2008年アメリカの大手投資銀行、リーマン・ブラザーズが破綻したことから始まり、アメリカだけの問題かと思いきや金融市場の不安から世界を巻き込む世界同時不況ともいわれるリーマンショックの余波をもろに受けることになりました。

世の中に物はあふれているが、モノの価格、価値がどんどん下がりデフレへと突入しました。

もちろん建設業界もパニックです。

公共工事の激減に続き、民間企業のハード面への投資の中断、計画の先送りなどが始まりさらに建築業界は冷え込みました。

 

例えばある企業様の案件が発生しても、今まではエリア的にも規模的にも営業活動していなかった建設会社が営業をかけてきて、入札参加や見積参加業者も十数社入ることはざらになりました。

何より見積をして価格検討を必死にして入札に挑んでも、落札業者との金額の差は信じられないほどの差があり、なかなか受注できない大変な時代を迎えました。

(落札業者は工事原価を下回っても受注確保を優先する傾向も見受けられました。とにかく受注し受注金額から逆算で各下請け業者へ無理無茶な発注をしていく、建設コスト破壊が繰り返され、下請け業者に支払いをしない元請業者も現れたり、社会問題にもなりました。)

 

この時には、モノの価格や技術力、人件費などすべて価格崩壊していくのを感じました。

ローコストにできるところが選ばれる理由になっていたかのように思いました。

このころの建築は、どの会社が施工しても同じであるという認識が一般にあったのだと思います。

それは正しくどこの会社も特色がないことを示していました。

世の中の経済状況などの外部要因を受注できない理由にしてきていましたが、明らかにこのままでは未来がないと思いました。

何かアクションを起こさなければと考えていたところ、弊社は住宅部門(木造)で地域産材や県産材を使用する住宅づくりをしていました。

 

大手ゼネコンのように高層ビルや大規模施設を建設するわけではないし、現状自社で強みを活かせる方法はないかと考え、非住宅建築の工事技術があり、地域産材の木材利用と木造大工職人との連携が取れるところを活かせればと考え、「コンクリート・鉄」の建物から「木造建築へ」をテーマとし、中大規模木造建築ができる工務店へと進化したいと考えました。

さらに今までの建築工事受注は、クライアントが設計事務所に設計依頼し、建設会社がその図面で積算見積し、低価格の会社が受注するのが主流でした。

中大規模木造建築が施工できるだけでは待ちの営業スタイルになるしかないため、クライアントに直接設計提案ができる体制づくりにも着手しました。

人材はもちろんですが、設計デザイン力や木造化によるコストパフォーマンスを生みだすことができること、同時に木造建築(特に地域産材)は環境問題の取り組みの貢献度が高いことなどもご説明できるように努めました。

そして何より、クライアントと初期段階からの関りができることで、モノづくりからコトづくり(クライアントの望むことや今までのストーリーを共有し、これからの歩みを共に考え提案すること)のできる工務店に変化することができたときに、付加価値を提供できる工務店へと評価されることになると考えました。

 

次回は、この中大規模木造建築を推奨し設計施工提一貫体制、グッドデザイン賞への挑戦のお話を書かせていただきたく思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

ホームページ 特権事業 ARCHITECTURE  STORIES

https://yoshizumikoumuten.com/

 

吉住工務店 常務取締役  藤田瑞夫

 

◆設計施工一貫体制でのメリット

1)シームレスなコラボレーション

建築設計施工一貫体制では、設計者と施工技術者が同じチームで連携し、プロジェクト全体を一貫して管理します。

これにより設計課題と技術課題の意思疎通がスムーズになり、クライアント(施主様)との調和が高まり、品質向上と設計段階からのコストコントロール、工期の短縮が期待できます。

2)コストと時間の効率化

設計と施工検討が同時に進行するため、設計変更や追加工事の発生のリスクを低減することができます。

また、工期の短縮やコストの最適化が可能となります。

3)責任の明確化

設計者と施工技術者が同じチームですので、責任の所在が明確化されます。

問題や課題が発生した場合、早期に協力して解決策を見つけることができます。

4)統一的な品質管理

設計段階から品質管理を共有されるため、クライアントや設計者の意図を理解でき、品質基準に沿ってスムーズに施工を行います。

これにより、品質向上と建物の機能的な一貫性が確保できます。

5)コミュニケーションの円滑化

クライアント・設計者・施工技術者がプロジェクト全体を共有し、定期的なミーティングやコミュニケーションを行います。

これにより、すべての関係者間での意思疎通が容易になり、問題の早期発見と解決が可能になります。

藤田瑞夫
藤田 瑞夫 -

 

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